生物多様性の危機

地球上の生命、その中には、ヒトを含むすべての動物、植物、菌や様々なバクテリアまで、多様な姿の生物が含まれています。この生き物達の命の繋がりを「生物多様性」と呼びます。
すべての生命は自分一人、ただ一種だけで生きていくことはできません。
今地球上に存在する多くの生命は他の生き物達と直接関わり、初めて生きていくことができるのです。
今ある地球は、この「生物多様性」によって成り立っていると言っても過言ではないでしょう。

20世紀後半から、世界の各地、とりわけ自然が豊かに残っていた途上国地域を中心に急激に進み始めた自然破壊が世界全体をも脅かしかねない「環境問題」を引き起こしてきました。
地球の環境問題。それはまさに、ヒト自身が自然環境を改変し、多くの生命を減少・絶滅に追い込み、地球の「生物多様性」を大きく損なおうとする、世界規模の問題です。
装飾品の素材として利用、食用として乱獲、海洋生物が魚網に絡んで命を落とす「混獲」、地球温暖化・開発・汚染による生息地の減少、外来種を放つことによる天敵の増加…
以上が自然に生きる生命を絶滅に追い込んでいるヒトの働きです。

ヒトの活動に怒りを感じる方がいても不思議なことではありません。自然に脅威をもたらしていることは確かな事実であるからです。
しかし、ヒトはどう足掻いても現存する地球の自然を利用しなければ生きていけないのです。では、生物多様性の中にいるヒトはどうあるべきなのでしょうか。
それは「驕(おご)らないこと」だと思います。すべての生命は、ヒトのためだけに存在しているのではありません。絶滅が危惧されている動物が増えているということは、ヒトが余分な行動をしているということです。
今一度、自らのこれから起こす行動が周辺に潜む動植物にどのような影響を及ぼすのか考えてみましょう。